2019-12-29 Sun
先日のインターネット句会の特選句について、鏡味味千代さんが鑑賞を書いてくださいました。
いつの間に池の真中へ鴨の陣 真理子
池の鳥を見ていると、全く変わっていない景色と思いつ、気づかぬうちに全く変わっていることがある。
池にたむろしていた鴨も、何もしていないと思いつつ、池の下で足を動かしていたのか。
気づくと真中へ陣取っていたのである。
着膨れて貰ふサプリの試供品 実可子
体を冷やさぬように。常に健康へ気を配っているのだろうか。
思わず差し出されたサプリの試供品も貰ってしまう。
映像が目に浮かぶ句。
臘月のテールランプの流れゆく 千穂
帰省だろうか。流れ行くというのだから、勢いよく走っている訳ではない。
長く続く車の列が過ぎていく。
年の瀬を思わせる一句。
鴨遠慮がち都鳥図々し 真理子
鴨は人を避けて逃げていく。
反対に都鳥は人を脅かすような振りをすることも。
しかし、都鳥を図々しくさせてのは、変に餌をやったりした人災かも。
鳥を人に似せて表現した興味深い句。
目を伏せてゆつくり蜜柑剥きにけり 麻美
子供だったら、皮はすぐに剥いてしまうだろう。
目を伏せる、ゆっくり剥く。
その二つの動詞で、年齢層や人柄を伺わせる。
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