2017-05-25 Thu
松枝真理子句集『薔薇の芽』について、志磨泉さんが10句選んでくださいました。インターホン画面すれすれ夏帽子 真理子
マフラーを無理矢理巻いて送り出し 〃
キャンプより帰りてもまだ歌ひをり 〃
みんみんのみに濁点のついてをり 〃
その番組見せる見せない秋の宵 〃
肯定も否定もせぬ子五月闇 〃
コスモスや病さらりと告げられて 〃
落葉踏む今ならわかりあへること 〃
おでん酒年を取るのも悪くなし 〃
忘れ物あへて届けず秋うらら 〃
誰しも経験したことのある場面ではないだろうか。同世代である私にひきつけてみると、子供の忘れ物が思い浮かぶ。「いってらっしゃい」と送り出し、やれやれと一段落。ところが、食卓あるいは玄関に忘れ物が・・。忘れ物をして泣きべそをかくような年齢ではなく、中学生位ではないだろうか。一見、子供を突き放した行動にみえるがそうではない、季語が「秋うらら」だからだ。深刻な影響をもたらす忘れ物でないこともわかる。少々困ることによって本人の自覚を促したいという親心だ。そして、学校や友達に慣れてきた秋という時期だからこそ、子供自身で何とかできるであろうと親も思える。子供の失敗に一喜一憂しない子育てのその姿勢に、読者の私も爽やかな風を感じた。
ありがとうございました。
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