2017-04-30 Sun
インターネット句会の結果をご報告します。今回は参加17名で、152句の投句がありました。
井出野浩貴選
特選句
一斉に顔をめがけてしやぼん玉 麗加
もじもじの隣あたふた新入生 紀子
花冷や草の匂ひの粉薬 泉
蕗味噌や厨に近き母の椅子 栄子
花衣脱げはさらさらみづの音 明日香
入選句
東京の隙間に萠ゆる蓬かな 味千代
ビルとビルの間の僅かな空間を占領している蓬、無機質なコンクリートとアスファルトの街にも自然の生命の躍動感を感じました。また、埃っぽい臭いにまざって、草の良い香りが漂ってくるようです。(ひより)
この家のポスト満杯花ミモザ 栄子
ブティックに寄席のポスター風光る 真理子
春寒や旧家の廊下軋みたる ゆかり
父一人離れて座る花見かな 礼美
昭和のお父さんというイメージだ。家族と一緒に居るひと時もどこかつかみどころがなく、仕事のことを考えているのか、何らかの感慨にふけっているのか、もしかしたら桜にまつわる記憶を辿っているのだろうか。単に団欒の中にいるのが照れくさいのかもしれないが…。そんな父を気にかけている作者の位置まで見えてくるような、再現力を感じた句。(栄子)
清明や少女のひたひ大らかに 麗加
春の草子の自転車について行く 礼美
青饅や晩年はまだ先のこと 栄子
雛納太陰暦にしたがひて 紀子
いつの間にいつもの道に初桜 香奈子
入学の少年選ぶペンケース ゆかり
手触りはいかにと思ふ蝌蚪の紐 真理子
夜桜となりてますますしだれをり 林檎
背景が闇になると、桜も、重力に対して昼間以上に気怠く感じるのかもしれません。(麻美)
時計台振り返りみて卒業す 泉
草野球外野に蝶のまた来たる 紀子
草野球の、しかも、あまりボールも届いてこない外野ののどかな景色の中に、蝶がまた来るという、穏やかでのんびりとした気持ちよさを感じました。(志奈)
花曇鉄の匂ひのたなごころ 林檎
雨戸繰る音聞こえきし朝寝かな 礼美
新社員部署名言ふもたどたどし 林檎
死ぬるため砂吐かさるる浅蜊かな 志奈
こんな浅蜊の句は珍しいと思ってすぐ取ってしまいました。「死ぬために」ですと若干説明的なので「死ぬための」の方が私はよいかと思いましたが、確かに、と納得しました。食べるために砂を吐かせるという、人間のエゴイズムを感じました。(明日香)
そののちの旅人気分春ショール 依子
清明や水筒の水分け合ひぬ 栄子
春燈や青インク選りガラスペン 泉
さくら咲く嬰はこぶしをしやぶりをり 麗加
背番号もらへぬ子にも若葉風 香奈子
馬跳びの父の背中や蓮華草 麗加
互選で人気のあった句です。
仲直りせぬまま春の星となり 香奈子
麗らかやアップルパイの焼き上がり あき子
次回は6月ですので、よろしくお願いいたします。
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