2016-02-24 Wed
インターネット句会の結果をお知らせします。今回は記念すべき第30回。
18名による169句の投句がありました。
西村和子選
特選句
今だから言ふと言はれて温め酒 ゆかり
道場は相見謝絶寒椿 林檎
凍空や信号変はりさうもなく 千晴
消印の滲む封筒ヒヤシンス 良枝
振りかへらざりマフラーを巻きなほし 泉
入選句
往年の父の如くに餅を切る 栄子
予備校の幟乱立大試験 紀子
大学入試のとき、予備校の幟の乱立する景を思い出しました。
一種異様な光景ですが、それを俳句に切り取るという発想がいいですね。(志奈)
忘れるためにいつまでも毛糸編む 良枝
物言はぬことも指導や寒稽古 麻美
はりつめた厳しい稽古の様子が、「寒稽古」の季語でよく分かる。
皆まじめに稽古に取り組む様子が目に浮かぶ。(味千代)
春眠の目覚めてもまた独りなり 泉
餡パンの塩味微か雪催 良枝
出で立ちはちよつとそこまで初列車 栄子
初句会せめてペンだけ新調し 味千代
節分の空を旋回ヘリコプター 真理子
終刊の予告のありて初句会 ゆかり
碧い眼の敬語美し春兆す 千晴
まだ、日本語を習いたての外国人がたどたどしながらも敬語を丁寧に使っている様子がとてもよく伝わってきました。
「春兆す」という季語と上五中七の取り合わせがとても合っていると思います。(中川玲子)
寒声の床震はせて響きけり 麻美
石鹸を替へタオル替へ春支度 良枝
スノーシュー軋みの先へ一歩かな 志奈
春寒し胆石写るレントゲン 紀子
待春のジャズに重心預けたる 泉
淋しさをふはりと隠し春ショール 良枝
春隣猫はしっぽで返事して ゆかり
初雪やカーテン開くるまでもなく 林檎
麻雀の傍ら子らは歌留多とる 赤江玲子
これぞ、私の知りうる正月ですね。
大人どもは麻雀に講じ、子供らはかるたとり。
早くこっちで遊べるようにねと、成長を待ち望むものです。(利行)
立春のベンチに一人目を瞑り 礼美
そこにのみ日の射すごとし冬桜 林檎
着膨れて文学少女の萌かな 栄子
裸木のキリンのごとく走りさう 中川玲子
放ちたる声の重なり大白鳥 ゆかり
大白鳥、あまり群れを見たことはないのですが、この句に迫力を感じました。
群れを成している白鳥の一羽が大きな声をあげ、その声に呼応するように他の白鳥の声が重なってゆく・・・迫力あります。
声だけを句にしていますが、羽ばたいたり戯れたりしている様子、水の音まで聞こえてくるようです。(あき子)
立春のグラタン夫に誉められぬ あき子
号令の声裏返る寒稽古 麻美
遥かなる夫と子の声春の風邪 良枝
皆勤の我が名誇らし寒稽古 麻美
坂上に茶房開店春隣 泉
雪眼鏡外し定かに山の色 志奈
互選での人気の句もご紹介します。
声出せと出しても出せと寒稽古 麻美
芽柳や雷門に待ち合はす 真理子
演じ切る先生の声鬼やらひ ゆかり
次回の締切は4月5日です。桜がきれいな頃でしょうね。
みなさまの投句をお待ちしています。
スポンサーサイト