2012-11-22 Thu
インターネット句会の結果です。今回の参加は25人。218句の投句がありました。
西村和子選
特選句
カフエも秋ジヤズの音量心地よく 泉
残暑の頃にも流れていた曲だ。あの時はうるさく聞こえたのに。ちょっと暑苦しかったし。でも今は、このカフェにこの曲はうってつけ。ねえマスター、ボリューム下げた?いつもと同じ?そう、でも今日はちょうどいいですね。あ、失礼、いつもも悪くはないです。今日はカフェ日和、ジャズ日和。(銀子)
生命の不思議思へば木の実落つ 麻由美
鳥渡る弔問叶ふことのなく 泉
林檎剥くあと一言の云へなくて 泉
膝小僧乾きて白し冬近し 真理
観察眼の鋭い句だなと思いました。膝小僧って冬に白っぽくなりますよね。(綾奈)
入選句
赤い羽根付けて訪問販売員 美星
秋澄むや山を語りて乗り過ごし 千晴
山が好きな方なのでしょう。話がのって、楽しくて楽しくて止まらなくて、あああ過ぎちゃった。想像できて楽しい景でした。(紀子)
秋彼岸猫背代々受け継がれ 利行
爽やかや一斉に挙ぐ審判旗 美星
秋夕焼励まし合ひて別れけり みわ子
楽しかった会話から少しずつ本音、弱音、悩みが出てきて、聞けば似たような悩みであったり、人が聞けば小さく思えるようなことかもしれない。「そうね。私もよ。そんなことないわ。」そんな一言に少しずつ心が安らいでいく。今日会ってお話してよかった、明日からまた頑張ろう、元気が湧いて来て、心も足取りも軽く帰っていくのが見えてきます。(佳世子)
欲しきもの少なくなりぬ暮れの秋 麻由美
パソコンと少年ジャンプ燈火親し 真理子
かくまでに愛を乞ふとはちちろ虫 きあら
長風呂は父親譲り冬隣 綾奈
もう高く飛べぬ羽もて秋の蝶 美星
小鳥来て魔女の名前を呼び交わす 久美子
温め酒今夜は愚痴を言ふまいと 千晴
其処は人佇ち止まる場所居待月 泉
隠し事見透かされをり秋の雨 千晴
夫と子のものに囲まれ秋暮るる 馨子
寝かしつけホラー映画を見る夜長 美星
体操服今日もまた干す鵙日和 銀子
木犀の香へシャツを干すシーツ干す 林檎
たくさんの洗濯物を一気に干す、しかも木犀の香る庭で。爽やかな空に向かって深呼吸したくなるような景が浮かびました。(美星)
菊供養出るに出られずなりにけり 利行
破蓮右靴下の見つからず 麻由美
船笛の聞こゆる窓辺鳥渡る 明美
鰯雲見上げて心からっぽに 久美子
人間関係のこと、子どもの将来のこと、いろいろな悩みがあって煮詰まっている。ふと空を見上げると鰯雲が広がっている。キレイ……。見ているうちに悩みもどこかへ消えて、ひととき鰯雲に見とれていた。鰯雲は、心を癒してくれる。(茉莉花)
十月の飛行機雲の滲みけり 桂子
空腹に泣く子足許秋刀魚焼く 佳世子
悉く不吉に聞こゆ雨の月 林檎
一本に二人掛かりの松手入 利行
秋蝶のぺらぺらの翅眩しみぬ 久美子
蜜柑剥く女同士で母同士 栄子
をさな児に我が名呼ばれて秋深む 馨子
前触れもなくぱらぱらと栗落つる あき子
成長の自覚あるらし七五三 桂子
爽やかや先祖名も無き一漁師 麻由美
私がいるということはたくさんの先祖もいるということで、いずれわたしもその先祖の一人となるということ。今抱えている悩みや苦しみも、それどころか名前さえも忘れられ、「ご先祖様」の一人となる。この漁師だった先祖の一人はどんな人生を歩んだのだろう。たくさんの人のおかげで今のわたしが生きている。普段は忘れているそんなことを思い出しました。(馨子)
柿たわわ大つむりなる赤ん坊 麻由美
鴨の引く一直線の光かな 利行
ほんとうは鴨の航跡はV字型なのでしょうけれど、確かに鴨が水面に一直線の光をひいていたと思わせられます。湖なのか、池なのか、鴨の立てた波紋がそのまま線となって残るほど、水面は静かなのでしょう。豊かな静けさに満ちた句です。(きあら)
鹿の子の淋しげな眼に出会ひけり あき子
海防論今も昔も鵙高音 泉
互選で人気のあった句です。
今日からは友を呼び捨て運動会 栄子
充電のロボット眠る文化の日 ゆかり
一枚のFAX届く夜寒かな 宏二
袴着や子の背に紋の大きかり 紀子
一問に百答あらむ芒かな 紅歳
風邪の子の遠くに鳴りし五時の鐘 あき子
今年のインターネット句会はこれが最後です。
来年も引き続きよろしくお願い申し上げます。
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