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パラソル句会

Author:パラソル句会
パラソル句会は、50歳までを対象とした若い世代の句会です。指導は西村和子先生から井出野浩貴さんへ引き継がれ、2021年1月から松枝真理子さんへ引き継がれますが、変わらず毎月(原則)第2土曜日の午後に池袋近辺の会場で句会をしています。また、毎月インターネット句会を楽しんでいます。お気軽にお問合せください。
合同句集『海へ』刊行 Amazonでお求めいただけます。

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第9回インターネット句会特選句について
毎日暑いですね。
先日のインターネット句会の特選句について、
吉田林檎さんが句評を書いてくださいました。

一升瓶提げし人行く青田かな        利行
田植えをした苗が伸び、青々とした田んぼ。
その間の道の先には一升瓶を提げた人。
遠目にも一升瓶とわかるのだから、袋などには入っていないのだろう。
地元の寄りあいなのか、親戚が集っているのか、
いずれにしても今年の豊作を祈りつつ気のおけない仲間と
これから楽しい宴会が繰り広げられるのだから、足取りも軽いに違いない。

音のせぬ鍵盤ひとつ梅雨深し         泉
梅雨が続き、家にこもりがちになる。
日頃から音の出ない鍵盤があることは認識しており、
早く修理しなくてはと思いつつ延び延びになっている。
いつもなら「まあいいか」と見過ごしてしまうようなことでも、
梅雨が深まってふさぎがちな気分の折にこういうことに接すると
いつも以上に気になってしまうのだろう。
鍵盤を沈めるという行為も梅雨深い気分と重なっている。

顎紐を取り替へておく夏帽子        ゆかり
虫をおいかけたり、鬼ごっこをしたり、夏の遊びはとにかく活動的だ。
昨年の夏も顎紐がゆるくなるまで走り回り、遊びつくしたのだろう。
今年もそうなることはわかっている。
母親としてはむしろそれを願っているに違いない。
「顎紐を取り替」えるという行為は「今年の夏もとことん遊びなさい」という
メッセージそのものなのだ。

日焼けして赤子この世の子となるや     桂子
生まれたばかりの赤ん坊は正直なところ人間という感じがせず、
どこかの世界からの借り物という感覚があった。
やわらかい肉の塊。それが日焼けすることで自分に近い存在になったと感じた。
その感覚を「この世の子となる」という簡潔な表現でいい表している。
「や」の語尾にはこれからもっと「この世の子」となっていく将来への希望も感じられる。

父の日や味方はひとり居ればよく      茉莉花
忘れられがちな父の日。
娘だけが唯一覚えていて、さりげない心遣いを見せた。
大勢からちやほやされなくても、たった一人の大切な人が気にしてくれていれば
それは最高に幸せなことだ。
また、その娘にしてみても「私がいるから」という充足感を覚えているかもしれない。
どちらの立場であるとしても、日常のちょっとした満足感を思い出させてくれる。


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インターネット句会特選句鑑賞 | 17:22:49 | トラックバック(0) | コメント(4)
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