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パラソル句会

Author:パラソル句会
パラソル句会は、50歳までを対象とした若い世代の句会です。指導は西村和子先生から井出野浩貴さんに引き継がれましたが、変わらず毎月第2土曜日の午後に池袋近辺の会場で句会をしています。また、偶数月はインターネット句会を楽しんでいます。お気軽にお問合せください。

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第45回インターネット句会特選句について
先日のインターネット句会の特選句について、國領麻美さんが鑑賞を書いてくださいました。

波かぶる前に泣き出す水着かな  あき子
よちよち歩きの子どもが、小さな水着を着せられて海水浴デビューである。興味津々な様子で海へぱしゃぱしゃと足を踏み入れる。そこへ白く波頭が立ち上がって近づいてきた。びっくりして突っ立ったまま大泣きの子ども。すぐさま抱っこする父。周りは皆、笑っている。波打ち際のひとコマを描写した。

先生の一燈消えずキャンプの夜  栄子
キャンプの消灯時間は早い。興奮していつまでもしゃべっている子ども達を叱りつける先生。「一喝にやうやく眠るキャンプかな 栄子」しかし先生の仕事はこれで終わりではないようだ。闇と静寂のキャンプ場に一つだけいつまでも燈っているテント。「先生の一燈」とは密やかな明るさをイメージさせる秀逸な表現だ。

銀座今二十一時や鐘涼し  林檎
いつだってちょっと特別な街、銀座。買い物をしてゆっくりと食事をして外へ出た。夜風が気持ち良い。時刻を知らせる鐘が聞こえて、見上げると大きな時計が指している時刻はちょうど9時。まだ9時。夜9時の銀座に私はいる。静かな喜びが湧いてくる。銀座という街だからこそ「涼し」く鐘が聞こえるのである。

燃えさしを蹴る少年よキャンプ果つ  栄子
男子とはすぐに何かを振り回す、投げる、蹴る、習性があると感じているが、そういうことを表現しているのではない。この少年はなぜたき火の燃え残りを蹴ったのだろう? キャンプが終わるに際しての鬱屈だろうか。見つけた燃え残りを消火しようとしただけか。なにげない行為を見事に捉えた一句である。

夏めくやロングシュートの砂ぼこり  香奈子
ロングシュートとなったボールが砂ぼこりとともに転がっていく。その砂ぼこりに気づいて夏らしくなったと感じている。少年サッカーとか部活動とかを、観戦している立場からの視点である。青い空、白く厚い雲、まぶしさを増す太陽、グランド脇の雑草、選手達の汗、情景を一度に想像させる広がりを持った句。


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インターネット句会特選句鑑賞 | 00:20:46 | トラックバック(0) | コメント(0)
第44回インターネット句会特選句について
今回の鑑賞は、森山栄子さんが書いてくださいました。

終電に乗り来る汗とギターケース    林檎
終電、汗、ギターケースと、文字を辿るほどに臨場感が立ちのぼってくる。ギターケースを背負い、終電に乗り込んで来る青年。座った途端、その汗とエネルギーは落ち着きを見せるのだが、眼はまだ音楽の世界にある。現実に戻る過程を、乗り合わせた作者は確かに捉えていたことだろう。

軽鳧の子をひと目見しより出勤す     真理子 
産毛の抜けきらない軽鳧の子が潜ったり、よちよちと歩いたり、親を懸命に追う姿は、私たちの原点を指し示しているようだ。 毎朝その様子を見守る作者は、小さな生命の成長を新鮮に感じていることだろう。出勤前のひとときではあるが、心を律する大切な時間なのかもしれない。

明易しノート開きしまま重ね       礼美 
人生はあっという間だと諸先輩方が言う。私達の世代も然り、関心を寄せては忘れ、読みさしの本は増えるばかりだ。この句は本ではなくノート。ノートに書き留めるという行為は、忘れたくない気持ちの現れであるし、「開きしまま重ね」という措辞からも、学びたいという実直な気持ちが伝わってくる。

緑蔭に並べ替へたる絵の具かな    志奈
スケッチを終え、緑蔭に入って片付けをしている作者。日向にさらされた視界は、次第に鮮やかさ、濃さを取り戻す。それと同時に気持ちも落ち着く瞬間なのだろう。凹んだり丸くなったりしている絵の具のチューブを一つ一つ納めつつ、色彩豊かな季節を反芻している様子が自然に表現されている句。

風鈴の短冊ゆれてまだ鳴らず     林檎
紙の軽さ、ガラス棒の軽さ、或いは鉄片の軽さ。風力に左右されるこれらは、ひとり心にある時こそ感じる玄妙な感覚だと思う。その音はかそけく、放たれてすぐに消えてしまう性質のものなのだが、読み手もまたこの句に接して、その景を再現する機会を得た。写生句とは斯くと実感した。


インターネット句会特選句鑑賞 | 21:33:27 | トラックバック(0) | コメント(0)
第43回インターネット句会特選句について
今回の鑑賞は、吉田林檎さんが書いてくださいました。

制服の並ぶ店先桜草         礼美
入学が決まり、制服を発注する店へ。
いつも前を通っているのに気が付かなかった場所だったり、
普段は入らないような路地にあったり、街の喧騒と住宅街の中間でよく見る店だ。
様々な中学・高校の制服の見本が並ぶ店の前には桜草。
店主の程よい心の余裕が桜草という選択に現れている。
入学を控えた喜びが桜草という身近な季語と響きあった等身大の一句。

曲芸師時折とちり花の昼       真理子
庭園でたまに見かける曲芸師。
散策や吟行の際に出会えると得した気分になる。
曲芸だからお喋りがメインではないものの、
たまにとちると観客としてはちょっと心配になり、
応援してあげたい気分になるものだ。ましてや作者は花見帰り。
あるいは曲芸師の背景に桜が舞っているのかもしれない。
「花の昼」という季語が応援してあげたい気持ちを増幅させている。

初燕ターミナル駅動き出す      栄子
線路を飛び交う初燕。
駅舎に巣があるのかもしれない。
初燕を見かけると、何かが動き出すという感慨が沸くものだ。
作者はそれにターミナル駅が始動するイメージを重ねた。
まるで燕がやってきたから駅が動き出すかのようだ。
朝のラッシュアワーも燕が来たからなのだと考えれば楽しむことが出来そうだ。
「初燕」という季語によって無機物の電車が前向きな意志を持ったものに変わった。

一陣の風に崩るる花筏        志奈
ゆっくりと川を流れていく花筏。
ひとつの形をなしていたものが、一陣の風によって崩れた。
日本人が持つ「花」への思い入れが
これをただの自然現象ではないものに昇華させている。
一年間待ち焦がれた開花、散っていくさまも愛でて、
花筏は桜の花びらを愛でる最終形である。
その花筏まで崩れて、作者は心乱れたのだ。
「崩るる」の「るる」の響きがその情景を描いているようでもある。

被災地と呼ばれ七年下萌ゆる     志奈
東日本大震災から7年。
恥ずかしながら「被災地」と呼ばれる側のことをあまり考えたことがなかった。
この句ではそれを良いとも悪いとも言っていない。
「下萌」は春の到来を実感させる季語なので、前向きにとらえていると考えたい。
いつまで被災地と呼ばれるのか。
忘れてはならないことだが、春はもう7回訪れた。
まだ整理のつかない気持ちも下萌の情緒に通じるものがある。


インターネット句会特選句鑑賞 | 22:04:35 | トラックバック(0) | コメント(0)
第42回インターネット句会特選句について
第42回インターネット句会の特選句について
巫依子さんが鑑賞を書いてくださいました。

続々と離陸着陸旅始    麗加
新年になって初めて出る旅を、飛行場に過ごす作者。
続々と離陸着陸する飛行機を眺めるも、
そこにはまた、作者だけではなく様々な人の旅の交錯があり…
そうした景が、作者自身の新年最初の旅というものへの感慨をより深めてくれたことであろう。

ふらここを漕げば漕ぎ方思ひだす   麗加
大人になると、ブランコを漕ぐことも
日頃はすっかり遠のいてしまうもの。
しかして、ひとたび漕ぎ出せば、身体には
子供の頃に身についた感覚がしっかり宿っているのだから不思議。

一瞬の黙雪女郎過りたり   林檎
人と人が話をしていて、ふとした瞬間に、
一瞬の沈黙が生まれることがある。
その一瞬の沈黙の瞬間の冷え冷えとした感じを、
雪女郎が過った瞬間と捉えたユニークさ。

着ぶくれて取り出す古文単語帳  真理子
古の言葉を学ぶも、着ぶくれるまでに
重ね着のゆるされている暮らしぶりにあるのが現代人。
試験迫る学生のリアリティー。

的を射ぬ電話相談春寒し  ゆかり
人が誰かに相談を持ちかける時、相談と云いながらも…
相手にただ共感を欲しているだけだったりで、
答えが出ないままに堂々巡りすることが往々にしてある。
が、しかし、時に的を射た答えを返されることで、
すとんと憑き物が落ちたようにスッキリすることがある。
そんな相談者本人も意表を突かれたような感じを、
「春寒し」という季語により語らせているのは巧み。


インターネット句会特選句鑑賞 | 09:28:51 | トラックバック(0) | コメント(0)
第41回インターネット句会特選句について
今回は、島野紀子さんが特選句の鑑賞を書いてくださいました。

三軒を巡りいつもの日記買ふ  林檎
一人一冊の日記、一年間ずっとそばに置く物だからこだわって選びたい。気分転換して違うのにしようと思ったり、やっぱりいつものが良いかな?と、とにかく迷う。掲句、わずか十七音に心の起承転結が見えて面白い。作者はいつもと違う日記買うつもりで家を出る。手にとってあれやこれや選ぶ。色々見たけど三軒目いつもの日記に出会い、やっぱりこれかな?と納得し、また新たな一年をこの日記ともに過ごそうと、まっさらなページの胸弾んだことでしょう。日記買ふは冬の季語だが、手帳買ふは季語ではない。季語への昇格もありそうだ。

この庭に祖父の面影枇杷の花   栄子
枇杷の花は静かに楚々と咲く、茶色柔毛まとい寒さに負けない潔さも持つ花。祖母でなく祖父が似合う。
祖父に遊んでもらった記憶、庭の手入れをしていた祖父後ろ姿、枇杷の花にお祖父様と日常の思い出溢れる作者の思いを垣間見た。

足組んで派手な靴下十二月   麗加
クリスマスを思わせる靴下柄か、はたまた冒険柄の靴下か、足を組んだからチラリと見つけてしまった意外性。そういう人に言えない、見ちゃった!!を書くのが俳句の楽しみでもある。十二月という季語が効いている。

美術館経由甘味屋文化の日  志奈
文化の日だから美術館で過ごした。いっぱいの感動と心に湧き上がるものを得た。まだ時間はあるし静かな甘味屋に行って鑑賞を分かち合おうよ。心もお腹も満たされた大人の休日をお福分けただきました。

冬の日や土手をころころ女の子  栄子
冬の日が効いている。通りすがりの女の子が土手を転がり枯草まみれになっていることでしょう。笑い声も聞こえてきそう。子供らしさ、風の子らしさがよく出ていて景が浮ぶ句。


インターネット句会特選句鑑賞 | 22:50:59 | トラックバック(0) | コメント(0)
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