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パラソル句会

Author:パラソル句会
パラソル句会は、50歳までを対象とした若い世代の句会です。指導は西村和子先生から井出野浩貴さんに引き継がれましたが、変わらず毎月第2土曜日の午後に池袋近辺の会場で句会をしています。また、偶数月はインターネット句会を楽しんでいます。お気軽にお問合せください。

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第44回インターネット句会特選句について
今回の鑑賞は、森山栄子さんが書いてくださいました。

終電に乗り来る汗とギターケース    林檎
終電、汗、ギターケースと、文字を辿るほどに臨場感が立ちのぼってくる。ギターケースを背負い、終電に乗り込んで来る青年。座った途端、その汗とエネルギーは落ち着きを見せるのだが、眼はまだ音楽の世界にある。現実に戻る過程を、乗り合わせた作者は確かに捉えていたことだろう。

軽鳧の子をひと目見しより出勤す     真理子 
産毛の抜けきらない軽鳧の子が潜ったり、よちよちと歩いたり、親を懸命に追う姿は、私たちの原点を指し示しているようだ。 毎朝その様子を見守る作者は、小さな生命の成長を新鮮に感じていることだろう。出勤前のひとときではあるが、心を律する大切な時間なのかもしれない。

明易しノート開きしまま重ね       礼美 
人生はあっという間だと諸先輩方が言う。私達の世代も然り、関心を寄せては忘れ、読みさしの本は増えるばかりだ。この句は本ではなくノート。ノートに書き留めるという行為は、忘れたくない気持ちの現れであるし、「開きしまま重ね」という措辞からも、学びたいという実直な気持ちが伝わってくる。

緑蔭に並べ替へたる絵の具かな    志奈
スケッチを終え、緑蔭に入って片付けをしている作者。日向にさらされた視界は、次第に鮮やかさ、濃さを取り戻す。それと同時に気持ちも落ち着く瞬間なのだろう。凹んだり丸くなったりしている絵の具のチューブを一つ一つ納めつつ、色彩豊かな季節を反芻している様子が自然に表現されている句。

風鈴の短冊ゆれてまだ鳴らず     林檎
紙の軽さ、ガラス棒の軽さ、或いは鉄片の軽さ。風力に左右されるこれらは、ひとり心にある時こそ感じる玄妙な感覚だと思う。その音はかそけく、放たれてすぐに消えてしまう性質のものなのだが、読み手もまたこの句に接して、その景を再現する機会を得た。写生句とは斯くと実感した。


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インターネット句会 | 21:33:27 | トラックバック(0) | コメント(0)
第44回インターネット句会(2018年6月)
6月のインターネット句会です。
今回は16名が参加、投句数は134句でした。

井出野浩貴選
特選句

終電に乗り来る汗とギターケース    林檎
軽鳧の子をひと目見しより出勤す     真理子 
明易しノート開きしまま重ね       礼美 
緑蔭に並べ替へたる絵の具かな    志奈
風鈴の短冊ゆれてまだ鳴らず     林檎

入選句
子に追はれ仕事に追はれ弥生尽    味千代
扇風機止まれば羽の薄埃       麻美     
軽鳧の子の昼寝嫌ひの一羽かな    真理子      
石鹸の香りをさせて更衣       あき子
潮騒の如し五月の窓開くれば     栄子   
全身で大縄回し五月晴        あき子 

全身で大繩を回すというのが、とても清々しくて、
五月晴に合っていると思った(ひより)  
薫風や下手でも平気リコーダー    睡   
自分の学生時代の下校時の様子を思い出した。
習いたてのリコーダーを練習しながら、の
んびりとみんなでおしゃべりしながら、音
が少々外れていても気にしないで、笑笑 
楽しく下校する景が浮かびました。(礼美) 
軽鳧の子の転がるやうに泳ぎけり   真理子 
蕎麦咲くや村を出る子がまたひとり  志奈   
紫陽花のあをの暮色に紛れざる    林檎

暮色に紛れるあおとそうでないあおがあるということをよまれたのかなと。
たしかにたまにハットするほど主張のつよいあおの紫陽花に目を奪われることがあります。(睡)
青麦や生徒総会スローガン      ゆかり
紫陽花の陰にボールの忘れられ    あき子
いないのねこんなにさくらさいたのに 章子 
解雇され葉桜仰ぐ月曜日       香奈子

悲しいことに葉桜が効いている。
月曜日という日は殊更身に起きたことを実感なさるであろう。
と同時に、作者にはその思いを吐露出来る俳句があって良かったなと思った。(紀子)
花冷えや未だ馴染めぬ父母の会    香奈子
自転車の補助輪はづす新樹かな    あき子  
梔子のすつかり錆びてやはらかし   林檎   
ペン胝の未だ健在罌粟坊主      志奈
夏の朝風を切り裂く弓道部      ひより
白杖のしかと片蔭たどり来し     紀子
卯の花腐し母のふくらはぎの白し   志奈
草笛やいぢけしあの日遠くして    依子  
走り梅雨皮膚科にずらりピンセット  あき子      
梅雨寒や若き歌人の自死の報     志奈
改札をたちまち抜けて親燕      麻美 
サイダーの泡と眠る子供かな     紅歳      
軽鳧の子の潜りてはまた潜りては   真理子 


互選で人気のあった句もご紹介します。
覗き穴に薔薇の花束と男       栄子
キューピーの丸きおしりや浮いて来い ひより
挨拶の代わりにバナナくれる画家   睡
父の日の参観日母一人きり      香奈子

次回は8月5日締切ですので、よろしくお願いいたします。

インターネット句会 | 00:05:58 | トラックバック(0) | コメント(0)
第43回インターネット句会(2018年4月)
4月のインターネット句会の結果です。
今回は15名参加、投句は139句でした。

井出野浩貴選
特選句

制服の並ぶ店先桜草         礼美
曲芸師時折とちり花の昼       真理子
初燕ターミナル駅動き出す      栄子
一陣の風に崩るる花筏        志奈
被災地と呼ばれ七年下萌ゆる     志奈
入選句
カメラマン集ひし駅舎山笑ふ     味千代  
薔薇の芽のすでに高みを目指しをり  林檎     
行春や航海灯の点りそむ       依子
花吹雪みどりごも空仰ぎたる     礼美    
チューリップこれは大人の話です   林檎 
これよりは都を離れ花筏       紀子

草の河川敷で咲きに咲いた桜。
散った後は花びらが1つになって海を目指す。
そんな光景が浮かびました。
「これよりは」という言葉に、満開になった桜の誇りを感じます。(味千代)
ロッカーのずらり口開け春休み    麻美
進級していく生徒らの使っていたロッカー。
中身が取り払われて、かなり綺麗に掃除までされているよう。
それはまるで、溜まった物を吐出したようなスッキリ感。
とても的確に状況を捉えている句だと思います。(ひより)
この世界素晴らしと春宵のジャズ   栄子
春の宵ハチ公口に人溢れ       栄子
万愚節男の子も美白化粧水      紀子
出番待つ稚児の欠伸や花祭      志奈
揃へたる靴にも入る落花かな     礼美 
俳号で呼び合ふ宴四月馬鹿      林檎

たしかにこの句会だって嘘でできている! 
俳号で呼び合ふ宴、心あたりがあります(睡)
いつもとは違ふシャンプー春の宵   睡
制服に背骨あるかに新入生      麻美
ピン留めを栞代わりに春の昼     あき子 

ピン留めを栞の代わりに本に挟む。
その何気ない動作が春の昼という感じです。(ゆかり)
花曇橋から橋へ江戸巡り       味千代
荷物番桜吹雪を浴びにけり      礼美   
春の波そつと靴先洗ひをり      ひより
廃屋や瓦の隙の草若し        ゆかり
妖怪も立ち交じりたる花見かな    真理子
花の屑払ひてリユツク背負ひけり   礼美

桜の花びらをはらう、という何気ない動作を詠んだところに惹かれた。
焦点の絞り方が巧みで、読み手の想像をかき立てる。(麗加)
ビー玉のひと粒の泡春浅し      香奈子 
互選で人気のあった句をご紹介します。
掃き終へて春待つ庭となりにけり  麗加
公園で遊ぶ約束して卒園       あき子


次回の締切は6月5日ですので、
どうぞよろしくお願いいたします。

インターネット句会 | 10:01:14 | トラックバック(0) | コメント(0)
第42回インターネット句会(2018年2月)
2月のインターネット句会の結果です。
今回は、15名参加で投句数は128句でした。

井出野浩貴選
特選句

続々と離陸着陸旅始       麗加
ふらここを漕げば漕ぎ方思ひだす 麗加
一瞬の黙雪女郎過りたり     林檎
着ぶくれて取り出す古文単語帳  真理子 
的を射ぬ電話相談春寒し     ゆかり
入選句
寒月やわが胸中に鬼眠り       林檎
どんど火を背ナに一献漢どち     依子
スキー靴履けばロボットめきにけり  真理子   
靴の跡より冬草の立ち上がる     栄子
完璧な三つ折り紙幣お年玉      麻美
カフェ一歩出づや雪女郎に戻る    林檎 
火の粉追ふ火の粉どんどの火の猛り  依子  

上句から下句まで三回、
畳みかけるように火の粉が出てきて、
最後は猛りだという。
どんどの勢いがよく表れていると思いました。(ひより)
寒柝の母の一打の遅れがち      志奈   
緊張のレッスン室に悴みぬ      あき子
兄笑ふから笑ひたる初笑ひ      味千代
炬燵より顔出し小言聞いてをり    志奈 
ゆつくりと歩む参道寒日和      真理子
甍より光放たれ冬青空        志奈
病棟の絵画真直ぐ春寒し       ゆかり
鬼やらひ老いたる父の声響き     睡
冬深し寝入りたる子を抱きかかへ   章子

寝てしまった子を運んだのも懐かしい思い出。
あっという間に子は重くなり、途中で落としたり、ずり落ちたり、
起こすしかなくなる重さはすぐにやってきます。
運ぶの重いでしょうけれど可愛くて羨ましいです。
ママ頑張って!!(紀子)
そつくりの姉と妹あたたかし     栄子
江の奥の家に眠りて霜の声      依子
受験番号見つけ巷の音戻る      麻美

合格発表の紙が張り出され、人だかりの中、
受験番号を見つけるまでの緊張と、
見つけてからのほっとした様子が伝わってきます。(あき子)
春浅し色とりどりの豆カレー     麗加    
木々や花々は眠り半ば。まだ何色にも染まっていない早春の自然界。
そんな時期だからこそ、白いお皿の上の豆の色が
ひときわ目をひいたのでしょう。(香奈子)
スキーバス降りて他人に戻りけり   真理子
同じ目的で同じ場所にいたバスの同乗者たちには
ひそかな連帯感が確かに存在していた。
しかし終着場所に到着し、バスを下車した途端に
各々は帰宅へ向けての行動を黙々と始めるのだ。
そして挨拶も何もなくその場を立ち去って行く。(麻美)

互選で人気のあった句をご紹介します。
「禁酒」の字少々曲がる筆始     志奈
寄せ書きのペンのいろいろ浅き春   ゆかり
「ゆうき」てふ筆跡しかと春を待つ  真理子


次回の締切は4月5日です。
みなさんの参加をお待ちしています。

インターネット句会 | 22:21:50 | トラックバック(0) | コメント(0)
第41回インターネット句会(2017年12月)
インターネット句会のご報告です。
今年の納め句座となった今回の参加は15名、投句は129句でした。

井出野浩貴選
特選句

三軒を巡りいつもの日記買ふ       林檎
この庭に祖父の面影枇杷の花       栄子
足組んで派手な靴下十二月        麗加
美術館経由甘味屋文化の日        志奈
冬の日や土手をころころ女の子      栄子

入選句
初霜や子を負ふ夫を送り出し       味千代

冬の朝は、働く夫婦にとっては、暗く寒いうちから家事に仕事に動き出し、忙しい。夫婦で協力し合い、保育園に子を送り出しする今朝の夫を詠んだ句か。(礼美)
猫去つて毛布に残る窪みかな       ゆかり
マスクして語気の鋭さ衰へず       林檎
銀杏落葉渡り廊下に踊り場に       栄子 
寒禽のひと鳴きしては飛び立てり     真理子
吸ひ終はり顎のマスクをちょんと上ぐ   麻美     
寒風や双子は固く手をつなぎ       麗加 
 
普通の兄弟姉妹よりも強い絆を持つであろう双子。寒風の吹く今日は一層寄り添って身体も心も温め合うのでしょう。(香奈子)
寒鰤の並ぶ競り場よ五百本        ゆかり
冬田道忘れ物よと声響き        礼美   
人前に出るのは苦手石蕗の花       真理子
落葉踏むリュックサックを弾ませて    林檎
話し声少し大きく冬田道         礼美

冬になると、体に力が入って声が大きくなるということがある。あるいは冬田道の開放感から、話し声が自然に大きくなったという気持ちの良い経験かもしれない。私は、作者が会話から少し離れた所にいて、今日は話し声がよく聞こえるという気づきを句にしたのではないかと思った。遮るもののない冬田は、他愛ない会話さえも露わにしてしまうのだと思うと面白い。(栄子)
溶くるまで石に噛み付く霜柱       紅歳
冬ぬくし鈴カステラを二つ三つ      ゆかり

鈴カステラが大好きなんです。「冬ぬくし」になんだかほのかに甘い味を感じました。(味千代)
雪眩し吾子の瞳のうす茶色        麗加
煙草吸ふために枯芝横切りぬ       麻美   
水音や綿虫湧き出づるごとく       林檎
年の市人の波には逆らはず        ひより  
用二つ済ましたる間に煮凝れり      紀子
昃りて水底あらは冬の水         真理子

日陰の暗さを得て初めて気づいた水底の姿。これは体験がないと詠めない句なのではないだろうか。冬の水といえば「冬の水一枝の影も欺かず」がどうしても思い出され、ついつい水面にばかり注目してしまうが、作者はその奥にあるものを発見した。日陰によってあらはになるという構造が面白い。(林檎)

互選で人気のあった句です。
焼藷やこの世は天下泰平と       味千代
冬日さす美術教諭のエプロンに      栄子

来年の初句会は2月5日締切です。

来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

インターネット句会 | 23:33:50 | トラックバック(0) | コメント(0)
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