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パラソル句会

Author:パラソル句会
パラソル句会は、50歳までを対象とした若い世代の句会です。指導は西村和子先生から井出野浩貴さんに引き継がれましたが、変わらず毎月第2土曜日の午後に池袋近辺の会場で句会をしています。また、偶数月はインターネット句会を楽しんでいます。お気軽にお問合せください。

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第53回インターネット句会(2019年12月)
今月のインターネット句会の報告です。

井出野浩貴選
特選句

いつの間に池の真中へ鴨の陣      真理子
着膨れて貰ふサプリの試供品      実可子 
臘月のテールランプの流れゆく     千穂
鴨遠慮がち都鳥図々し         真理子
目を伏せてゆつくり蜜柑剥きにけり   麻美
入選句
張り替へし弦より冬麗の響き      依子
都鳥弁財天を睥睨す          千穂     
晩菊や父母遠くつつがなく       依子  
整列の背に受けてゐる冬日かな     麻美
 
冬の体育の授業を思い出す。
点呼で整列しているときなど、それはそれは寒かった。
日差しの温かさを、こんなにも実感する季節も、場面も、そうそうないだろう。
「先生のジャージは暖かそうでいいよね」とこそこそ級友と言い合ったのもついでに思い出し、クスリとしてしまった。(優美子)
足音に追ひ越されたり冬の月      林檎
この頃は暮れるのが早い。
仕事を終え外に出ると、すれ違う人の顔貌はすでにわからず、脇を行く人も足早に過ぎるばかりである。
作者を追い越してゆく人を「足音」と端的に表現し、研ぎ澄まされた冬の月と呼応させた一句。(栄子)
おでん酒健さん好きな者同士      栄子
柄にもなき花選ることもクリスマス   優美子      
焼鳥や今日は素面がよく喋り      睡
窓際のマトリョーシカよ冬はじめ    ゆかり

ロシアの人形だからか、マトリョーシカには冬のイメージがある。
家の中を飾る行為も、外の寒さを感じる。
素敵な冬が過ごせますように。(味千代)
冬の虹消えて授業を再開す       麻美
子も母も布団もみんな丸まりて      味千代
冬の鳶真一文字に真正面        睡
着ぶくれて部活顧問として一日     麻美
抽斗の奥のプリント十二月       ゆかり
懐手プラネタリウム出でしより     紅歳
蜜柑まだ匂ふ五限の教室よ       麻美  
三輪車すいすい漕いで金木犀      栄利子
秋麗汽笛は門司の東より        香奈子
エプロンの結び目ぎゆつと黒セーター  林檎
蜜柑剥く香りにつられ蜜柑剥く      礼美
山々のあはひに冬の蹲る        睡
燈火親し夫に薦めるミステリー      味千代


互選で人気の句を紹介します。
冬蝶の枯れて世界の栞かな      睡
立冬の十二単の白さかな      香奈子
こきこきと水鳥のゆき冬ぬくし      千穂


来年もよろしくお願いいたします。

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インターネット句会 | 20:35:48 | トラックバック(0) | コメント(0)
第52回インターネット句会(2019年10月)
今月のインターネット句会の結果を報告します。

井出野浩貴選
特選句

西瓜十五切とや子規健啖     千穂
のぼさんのやうに寝転び鰯雲   林檎
大海老の天丼うまし秋日和    あき子 
子規庵に足の向きたる九月かな  真理子 
箒目に箒目重ね秋の声      林檎 
入選句
盆休み鏡の奥の古柱        香奈子
枝半ばより咲き初むる萩の白   千穂
我もまた誰か傷つけそぞろ寒   睡  

知らないうちに、だれかを傷つけていたなんて、いう場面に共感する、
良かれと思っていたことが・・・。
冬に入る肌で感じるさみしいやりきれないそぞろ寒。(礼美)
糸瓜忌の土壁に手を触れてみし  林檎 
舟漕げる腕へ秋風又秋風     紅歳 
新涼の船渠に仰ぐ異国船     依子
星祭かなはぬ願ひ書きにけり   真理子
御太鼓のほどけゆくかに花芙蓉  千穂
緑廊にふらりと垂るる糸瓜かな  実可子
ベビーカー並ぶ立秋カフェの窓  栄利子
学生の声揃ひけり赤い羽根    麻美

人通りの多い場所で、「お願いしまーす」と声を揃えて募金を呼び掛ける学生たち。
「揃ひけり」で学生たちが列になって並んでいる様子もうかがえる。
行き交う人々も目を留め、通り過ぎても学生たちの若々しい声が耳に聞こえる、さわやかな秋の日だ。(あき子)
運動会敬老席の混み合へる    礼美  
子の寝息聞きつつ眠る星月夜   香奈子 
カーテンを貫く月のあかりかな   味千代 
先生のダンス真剣運動会      礼美
赤とんぼ高速道のバス停に    真理子

異世界との境界を感じさせておもしろい。
バス停は高速道路の一部だが境界線近くにある。
背後には赤とんぼが飛び回っている世界が広がっており、
この赤とんぼはあちらから、バス停に紛れ入ってしまった1匹なのだろう。(麻美)
爽やかや万葉集を歌ひ継ぎ     ゆかり   
秋うらら実家の猫が懐かない    睡 
眼鏡無き顔の曖昧おけら鳴く    栄子

眼鏡をとった時の顔を、「曖昧」と言い切った作者。
イメージを一言で表現できる感受性の鋭さ、語彙の豊富さを感じました。
「おけら鳴く」という季語が、ほのぼのした風情を醸し出していますね。(香奈子)
先生のブラウス赤い羽根一つ    麻美
鯖雲やマイクテストのあ行さ行   林檎
書きさしの小説ふたつ夜半の秋   優美子
蟷螂の軽き身をもて踏ん張れる   睡
秋夕焼赤より滲み出づる青     依子 
秋空や思ひ出せざるパスワード   麻美 
芭蕉展出でて仰げり秋の空     真理子


互選の人気の句をご紹介します。
天高しキリンはサイを見下ろして  あき子
野分後雲の切れ間のうすみどり  香奈子


次回の締め切りは12月5日です。
早いもので今年最後の句会です。
みなさんの参加をお待ちしています。

インターネット句会 | 06:27:18 | トラックバック(0) | コメント(0)
第51回インターネット句会特選句について
インターネット句会の特選句について、
青木あき子さんが鑑賞を書いてくださいました。

古戦場ぬるりと光る夏の川 優美子
「ぬるりと光る」で血が流れているイメージがした。
作者は、昔戦があった場所に佇み、時を超えて動乱の時代に生きた人々に想いを寄せている。
「夏草や兵共がゆめの跡(芭蕉)」の句を思い出す。
今はただ何もなかったかのように、とうとうと川が流れている。

この径は風の抜け径草いきれ   依子
夏草の醸し出す熱気と匂いの中、作者が歩く径は、時おり心地よい風が吹く。
草いきれが、風が吹くときにふっと途切れ、風が止めばまたすぐむんとした匂いがするのだろう。
「この径は 風の抜け径」という表現が詩的で口に出してみたくなる。

夏料理からんころんと運ばるる  林檎
「からんころん」の涼し気な音が印象に残る一句。
器に盛られた氷が奏でる音、もしくは給仕がはいている下駄の音なのだろうか。
「からんころん」の音が夏料理を引き立たせ、涼しさも運んでくる。

熱帯魚胸びれのほか使はざる   林檎
形も色も鮮やかで我々の目を楽しませてくれる熱帯魚。
作者は、熱帯魚の胸びれに注目した。
熱帯魚は動作も緩慢だが、よく見れば胸びれだけを絶え間なくせわしなく動かしている。
「胸びれ」に焦点を絞ってよく観察していると思った。

横顔が真正面なり熱帯魚  林檎
熱帯魚を絵に描くとしたら、身体の横側を描く。
魚を顔の正面からは描かないだろう。
熱帯魚は色彩や特徴のある形が面白いから、我々は常に横側をイメージしている。
そのことを「真正面」という言葉でとらえている。



インターネット句会 | 09:32:58 | トラックバック(0) | コメント(0)
第51回インターネット句会(2019年8月)
第51回インターネット句会の報告です。
今回は16名参加、投句数140句でした。

井出野浩貴選
特選句

古戦場ぬるりと光る夏の川   優美子
この径は風の抜け径草いきれ   依子 
夏料理からんころんと運ばるる  林檎
熱帯魚胸びれのほか使はざる   林檎 
横顔が真正面なり熱帯魚    林檎 
入選句
昼頃に起き出でてくる跣かな  味千代
鮎飯や父にもありし笑ひ皺   優美子

厳格な父だったのでしょうか。あるいは疎遠だった父かもしれません。
その笑い皺に気づいた子の心境。
釜の中の鮎をほぐすがごとく打ち解けでもそれは少しほろ苦い鮎の味。
そんな親子の関係を思わせます。(睡)
白南風や引退の子のユニフォーム  ゆかり
容赦なく落とす胴上げ御田祭   麗加 
熱帯魚存外地味な顔をして     真理子
冷製パスタ角切りトマト主役なる  麻美
揚花火母にもたれてまどろめる  香奈子
鮎の腸知命楽しいかもしれぬ   林檎
蚊遺火や一人暮らしの独り言    志奈
手伝へぬ遠き故郷の盆支度   香奈子
言ひ訳が大人びてきし晩夏かな   志奈

大人になると、その成長はなかなか計りがたいものがあるが、子供の頃というのは、たったひと夏の間にも随分と成長をみせる。
この句も、言い訳が大人びて来たなというところに、子の精神面での成長を感じているのだが、それを受け止める季語が「晩夏」というところが、まったくほんのひと夏の間に・・・というところを強調している。(依子)
炎天やタイルの目地のやや離れ  転児
青空を飛び翔るごと鱏泳ぐ   真理子
箱河豚の鰭忙しなく夏休   実可子

さかなクンでお馴染みの箱河豚。
水族館だろうか、愛嬌のあるスタイルで懸命に前進している様子がわかる。河
豚は冬であるが、箱河豚のかわいさに惹かれた。 (ゆかり)
軽トラが櫓となりぬ盆踊  睡
上五中七から、この里の雰囲気が伝わる。
のどかな田舎の風景。(麗加)
靴下の跡のつきたる日焼の子   礼美
一声のしてたちまちに蝉時雨   志奈

確かにこの句のような蝉時雨を聞いたことがあります。
さきがけの蝉の声のあと、わき上がってくるような蝉時雨。
「たちまちに蝉時雨」ということで時間の短さと迫力が伝わってきます。(あき子)
初蝉はあのあたりかと目を凝らす  あき子
鯉の背に日の輪張りつく旱梅雨   麗加    
瞼にも汗やまばたき二度三度   真理子
尖りたる土偶の乳房南風吹く   麗加 

乳房を尖らせた土偶の原始的な力強さと、
南風吹くという豊かな自然を感じる季語の取り合わせが素晴らしいと思いました。(志奈)
存分に汗かいて食ふカレーかな  栄子
憧れは普通の暮らし胡瓜揉む   依子
力こめスタンプ押す子夏旺ん    真理子


互選で人気のあった句をご紹介します。
六畳に我が物顔の浮き輪かな     味千代
皆海へ足を向け寝る砂日傘     志奈
重心の掌に定まらぬ西瓜玉     実可子
ごきぶりを見ても打つても独りかな   優美子
親友とポテトチップス青田波     味千代


次回は10月5日締め切りです。
みなさんの参加をお待ちしています。

インターネット句会 | 22:13:12 | トラックバック(0) | コメント(0)
第50回インターネット句会特選句について
先日のインターネット句会の特選句について、田中優美子さんが鑑賞を書いてくださいました。

獣道めく道抜けて夏館  林檎
「獣道めく道」であるから、完全な獣道ではない。
しかし、人の手の入っていなさそうな、なんとなく進むのをためらってしまうような、そんな道が思い浮かぶ。
そこを抜けた先にあった屋敷は、草木生い茂る道とはうって変わって、清々しい情趣を持っているのだろう。
勇気を出して踏み入った先で思わぬ宝物に出会った高揚感と、自然に囲まれた夏館の清涼感を味わえる一句。
どこか冒険心も刺激され、まさに夏にぴったりという読後感である。

白あやめ人は聲より忘れゆく  睡
誰かを亡くしたとき、人はまずその声を思い出せなくなるという。
たしかに、視覚的な記憶を脳裏に描くことはまだ容易いが、声を再生することは、年月が経つほど難しい。
日常的に聞いた声が思い出せない、そのことによって、よりその存在がもういないことを実感するのだろう。
「聲」は「声」の旧字体で、意味は同じだがより心情的な重みが加わる表現だと思う。
この句には、声より忘れゆくことは知りながらも、まだ自分は思い出せる、忘れたくないと言い聞かせているような切々とした思いも感じた。
そんな切なさを季語「白あやめ」が静かに受け止めている。

鞆の浦五月の鳶の弧の中に  転児
言わずと知れた景勝地ほど、自分の感動を美しく印象的に詠むのは難しい。
しかしこの句は、それに見事に成功していると思った。
きらめく鞆の浦の海面が、鳶がくるりと描いた弧の中にあるという空間の切り取り方があまりに鮮やかで、海と空の青さ、鳶の翼の力強さが目に飛び込み、五月の風が軽やかに胸に吹き込む。
鳶には海や空や人は、どんなふうに見えるのだろうか。
どこまでも想像が膨らみ、初夏のうきうきとした気分が満ち満ちてくる一句。

夜気吸つて錆びゆく泰山木の花  林檎
白く、大輪の泰山木の花は、どことなくミステリアスで、昼よりも夜が似合う気がする。
つややかな花弁は、夜を経るごとに朽ちていく。
「錆びゆく」という表現からは、はじめ少しもの悲しい印象も受ける。
しかし、花びらが夜気を吸って少しずつ、少しずつ重さを増すように古びていく様子は、朽ちていくこともまた美しいのだという発見をくれる。
しっとりと夜が更けるたび、花の姿も変わっていく。
その時間の経過も愛しく思わせるような、深みを持つ句だと思う。

灯台のひときは白く梅雨けぶる  麗加
雨にけぶる視界のなかで、白い灯台がいっそう白く際立っている。
雨に紛れ、掻き消されてしまってもおかしくないのに、その白さは、いつもよりもっと鮮明なのである。
そのことに、灯台が船の目印となるために建てられたことを改めて感じさせられる。
視界もままならないこの雨の中、ひときわ白く、揺るぎなくそびえる灯台には、安心感も覚える。
不安定な天候に引きずられて心も落ち着かない梅雨の時期に、ひとつの拠り所を見つけたような気持ちになる一句。


インターネット句会 | 18:50:36 | トラックバック(0) | コメント(0)
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