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パラソル句会

Author:パラソル句会
パラソル句会は、50歳までを対象とした若い世代の句会です。指導は西村和子先生から井出野浩貴さんに引き継がれましたが、変わらず毎月第2土曜日の午後に池袋近辺の会場で句会をしています。また、偶数月はインターネット句会を楽しんでいます。お気軽にお問合せください。

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第50回インターネット句会特選句について
先日のインターネット句会の特選句について、田中優美子さんが鑑賞を書いてくださいました。

獣道めく道抜けて夏館  林檎
「獣道めく道」であるから、完全な獣道ではない。
しかし、人の手の入っていなさそうな、なんとなく進むのをためらってしまうような、そんな道が思い浮かぶ。
そこを抜けた先にあった屋敷は、草木生い茂る道とはうって変わって、清々しい情趣を持っているのだろう。
勇気を出して踏み入った先で思わぬ宝物に出会った高揚感と、自然に囲まれた夏館の清涼感を味わえる一句。
どこか冒険心も刺激され、まさに夏にぴったりという読後感である。

白あやめ人は聲より忘れゆく  睡
誰かを亡くしたとき、人はまずその声を思い出せなくなるという。
たしかに、視覚的な記憶を脳裏に描くことはまだ容易いが、声を再生することは、年月が経つほど難しい。
日常的に聞いた声が思い出せない、そのことによって、よりその存在がもういないことを実感するのだろう。
「聲」は「声」の旧字体で、意味は同じだがより心情的な重みが加わる表現だと思う。
この句には、声より忘れゆくことは知りながらも、まだ自分は思い出せる、忘れたくないと言い聞かせているような切々とした思いも感じた。
そんな切なさを季語「白あやめ」が静かに受け止めている。

鞆の浦五月の鳶の弧の中に  転児
言わずと知れた景勝地ほど、自分の感動を美しく印象的に詠むのは難しい。
しかしこの句は、それに見事に成功していると思った。
きらめく鞆の浦の海面が、鳶がくるりと描いた弧の中にあるという空間の切り取り方があまりに鮮やかで、海と空の青さ、鳶の翼の力強さが目に飛び込み、五月の風が軽やかに胸に吹き込む。
鳶には海や空や人は、どんなふうに見えるのだろうか。
どこまでも想像が膨らみ、初夏のうきうきとした気分が満ち満ちてくる一句。

夜気吸つて錆びゆく泰山木の花  林檎
白く、大輪の泰山木の花は、どことなくミステリアスで、昼よりも夜が似合う気がする。
つややかな花弁は、夜を経るごとに朽ちていく。
「錆びゆく」という表現からは、はじめ少しもの悲しい印象も受ける。
しかし、花びらが夜気を吸って少しずつ、少しずつ重さを増すように古びていく様子は、朽ちていくこともまた美しいのだという発見をくれる。
しっとりと夜が更けるたび、花の姿も変わっていく。
その時間の経過も愛しく思わせるような、深みを持つ句だと思う。

灯台のひときは白く梅雨けぶる  麗加
雨にけぶる視界のなかで、白い灯台がいっそう白く際立っている。
雨に紛れ、掻き消されてしまってもおかしくないのに、その白さは、いつもよりもっと鮮明なのである。
そのことに、灯台が船の目印となるために建てられたことを改めて感じさせられる。
視界もままならないこの雨の中、ひときわ白く、揺るぎなくそびえる灯台には、安心感も覚える。
不安定な天候に引きずられて心も落ち着かない梅雨の時期に、ひとつの拠り所を見つけたような気持ちになる一句。


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インターネット句会 | 18:50:36 | トラックバック(0) | コメント(0)
第50回インターネット句会(2019年6月)
インターネット句会も今月で50回となりました。
これもみなさまのご協力のおかげです。ありがとうございます。
では、今回の結果を報告します。

井出野浩貴選
特選句

獣道めく道抜けて夏館        林檎
白あやめ人は聲より忘れゆく     睡 
鞆の浦五月の鳶の弧の中に      転児
夜気吸つて錆びゆく泰山木の花    林檎
灯台のひときは白く梅雨けぶる    麗加
入選句
薫風や夫にまかする卵焼き      香奈子
母の日も母怒らせてしまひけり    依子

母の日くらいは何か喜ばせることを…と思いつつ素直になれず結局はいつも通りの展開に。本
音で話せる家族だからこその皮肉だが、母の日に何かしてあげたいという背景があるからこそのドラマなのだ。(林檎)
敷石の片隅濡らしなめくぢり     林檎  
しやがみこみ蟻の道見てゐるばかり  真理子  
黒揚羽われに構はず蜜吸へる     栄利子
子らを待つ移動図書館夏来る     栄子
万緑や弓道部員声出して       真理子
出番待つ弓道場の枇杷たわわ     礼美
末つ子の乳離れ夏の兆しけり     実可子
送り出す修学旅行麦青む       ゆかり
葉桜や実らぬままがよき恋も     優美子
桜蘂降る公園の三輪車        実可子 
夕焼も積荷のひとつ帰港船      麗加

一読して港の空と海が真っ赤に染まる景色が鮮やかに目に浮かんだ。
そんな壮大な夕焼すら、「積荷のひとつ」なのだという表現から、これまでの長い船旅も思い起こさせる、広がりのある句だと感じた。(優美子)
新緑にすつぽりと包まれてゐる    あき子
蔦茂る縁切寺に絵馬ふくれ      林檎

悪縁を断ち切りたい人の願いと絡まり茂る青い蔦。
いつの世も続く縁切と、蔦の美しさの対比。 (ゆかり)
靴四散靴下四散水遊び        麗加 
献灯のひとつの潤み梅雨の月     志奈
子のサイズ一足飛びに更衣     栄子
オカリナの穴より洩るる風みどり  依子  
香水の香りふはりと帰国せる    味千代  
初めての生き物係夏兆す      香奈子
マネキンの唇光る街薄暑      礼美 

最近ではだいぶ様変わりしたようだが、ショーウィンドウの中のマネキンは無表情のような、何ともはかりにくい表情をしているように思う。
その眼差しは少し眩しげで、ふっと力を抜くように唇を少し開けかけている印象だ。
日差しを受けたマネキンの表情と街薄暑という季語がとても合っていると感じた一句。(栄子)
頬伝ふ汗そのままにチェロ弾きぬ  依子
ランナーの一団過ぎし草いきれ   麗加 


互選で人気のあった句もご紹介します。
麦茶干し親子喧嘩を再開す     優美子
なめくぢりついに石碑に上り詰め   礼美
理髪所のサインポールや夏燕    実可子
長靴を片方とられ田植の子     麗加


次回の締切は8月5日ですので、よろしくお願いいたします。

インターネット句会 | 10:32:07 | トラックバック(0) | コメント(0)
第49回インターネット句会(2019年4月)
今月のインターネット句会の結果です。
今回の参加は17名、投句は144句でした。

井出野浩貴選
特選句

真つ白な自由帳にも桜散る    林檎
卒業や付箋ばかりの参考書     志奈
春濤の島のあはひを押し寄せ来   依子
花吹雪抜けてくるなり郵便夫    真理子
灯ともりて桜瑞々しくなりぬ     林檎
入選句
蕗味噌や互ひの郷の話など      睡 
ブロマイド並べ射的屋花の昼     真理子
子をおぶひ屈める先の木の芽かな   実可子
花冷や梢の鴉かしこまり      林檎
特急は光の中へ春休み      栄子
深呼吸しろつめ草の海の中    香奈子
歌声にギターケースに桜散る     礼美
入学のつぼみのごとき拳かな    章子
へらへらと付属高校入学式      麻美
レコードに針を落としぬ花疲れ    志奈 
そら色の合同句集さくら時         ゆかり
日の差せばひたとやみたり飛花落花  真理子
囀や弁財天をうるほせば          林檎
あの頃の夢拙くてフリージア     栄子
母となり読む小公女うららけし     香奈子
降り立ちて島にまみえし初桜      依子
春潮にあらはれ貝の真白なる      依子
お迎へはいらぬと言はれ鳥雲に    転児
霾や赤フレームの眼鏡選り        味千代
うららかや島のパン屋に子の並び    睡 

島という社会において、今はどこも高齢・過疎化が問題になっている。春
のうららかな日、パン屋に子ども達が並んでいる光景には未来形の幸福がある。
うららかと子らと、ら音が多く重ねられているのも効果的。(依子)
春休み靴に残りし白砂も      栄利子 
花冷や火葬炉閉づる音硬く     志奈

桜咲く頃の葬儀。
火葬炉の中は熱いのですが、外で待つ私たちは寒さを感じるばかりです。
花冷が悲しみを倍増させます。(林檎)
この島は逝く人ばかり春怒濤     依子
幾つものひらがな描きさくら散る    紅歳

花の散る軌跡をひらがなと見る着眼点。
優しい心になれる、当たりの良い人であろうと思えました。(転児)
陽炎に溶け込みさうな乳母車     あき子
地球儀を回してみたり春うれひ     依子
すべり台並んで待つ子花の昼     真理子  
あたたかや子の蹠のふつくらと     あき子
大空を地に引寄せて犬ふぐり      栄子

大空の青と、犬ふぐりの青がリンクして、小さな犬ふぐりの方へ引き寄せられるというダイナミックな動きが感じられます。(章子)

互選で人気の句をご紹介します。
大勢の孤独集まり花の夜     林檎
大甍より春風の転がり来     栄子
水筒の傾きて立つ春の草     志奈


次回の締め切りは6月5日です。
どうぞよろしくお願いいたします。

インターネット句会 | 23:32:10 | トラックバック(0) | コメント(0)
第48回インターネット句会(2019年2月)
今年最初のインターネット句会の報告です。
初参加2名を含む18名により、146句が投句されました。

井出野浩貴選
特選句
半纏にデニム青空古本市      林檎
宿題は早口言葉日脚伸ぶ      礼美
灯ともせる手の皺深き阪神忌    志奈
どうせすぐ忘るる話おでん酒    志奈
太陽を封じ込めたる氷柱かな    ひより

入選句
多摩川へ一つ走りや四温晴     あき子
ひとっ走りしたい気持ちが季語によく表れているかと思います。
私も走りたくなりました。(味千代)
春待つや黄金めきたるメンチカツ  ひより
独り居の嵩張る鍋や寒厨     ゆかり
愛し抜く覚悟を問はれ梅真白    依子 
結婚に反対されたのか、望まれぬ子でも宿したのか。
寒さの中に咲く白い梅に、我を投影したのだろうか。
愛あれば耐えられる。(転児)
節分の子は母の歳数へをり     章子
獅子舞やおくれがちなる後ろ足   麗加  
暗算でくれるおつりや冬ぬくし   真理子
会報の封書の厚み春兆す      ゆかり
足取りのほろ酔ひらしき獅子頭   麗加
鈍感が生くる術なり着ぶくれて   林檎
大枯木仰ぎ無口になりにけり    真理子
肩二回叩き受験子送り出す     麻美
看板にロシアの文字も風冴ゆる   ゆかり
人波に揉みくちゃにされ追儺豆   あき子
干蒲団重なり合ひて男子寮     麗加
つぎつぎにみかん転がりからつ風  栄利子
補助輪の片方浮いて春近し     麗加 
きっと補助輪が外れるころには春なのでしょう。
「補助輪」だけでも春というの感じは出ると思うのですが片方だけ、浮く、というさらに視点をフォーカスしたことで春がすぐそこに来ている感じがうまく出ていると思いました。(睡)
祖母宛の賀状返事は母より来    睡
春隣抜きつ抜かれつスクーター   栄子
不機嫌を隠しきれざるマスクかな  転児
名画座の看板新た春隣       真理子
名画座という言葉にレトロな空気と格調があり、冬の終りの穏やかな日差しのもとに新調された看板の光景が浮かんできました。
春隣の季語が内容に合っていて素敵だなあと思いました。(実可子)
調律のピアノの生まれ変はり春   あき子
受験子へいつも通りの卵焼く    林檎
万感の思いを抑えつつ卵焼きを拵えている朝。
「受験子へ」という上五からも、親の温かな思いが子へ注がれていることが伝わってくる。(栄子)
ふらここや昇りきつたる無重力   麗加
ふぞろひの三つ編み揺れて春近し  香奈子
立春や掃き終へし庭光りをり    実可子 
掃除を終えて、さっぱりしたお庭。
風は冷たくても、日光は微かに春の陽気を帯びている。
立春を迎えた喜びが良く表れている句だと思います。(香奈子)
冬ぬくし間口一間半のカフェ    真理子
肩で息しつつ獅子舞頭噛み     味千代
ランドセル存外重し春隣      栄子
鯛焼やあんこなき尾を跳ね上げて  志奈

次回の締め切りは4月5日です。
みなさんの投句をお待ちしています。


インターネット句会 | 10:28:51 | トラックバック(0) | コメント(2)
第47回インターネット句会特選句について
12月のインターネット句会の特選句について、
永岡ひよりさんが鑑賞を書いてくださいました。

冬麗の富士を車窓に賜りぬ      依子
賜る、というくらいの感動を覚えているのは、通勤電車だろうか。
冬の、大気が澄んで遠くまで見渡せる季節、都内からでも富士山の五合目あたりから山頂までが見えるのだが、そうするとちょっとした嬉しさを感じる。
通勤の混雑の不快さも、少しは薄れそうだ。冬麗という季語が効いていると思う。

アンテナの先まで錆びて冬ざるる   林檎
錆びたアンテナは、地デジではない昔のものが残った家のものか。
今はもう、誰も住んでいないのかと思う。もしかすると、廃村を見つけてしまったのかもしれない。
そんな物語を想像してしまう。
冬ざるる、という季語によって、荒涼とした景色を極めている。

枯芝を払ふでもなく鬼ごつこ     真理子
服につく枯芝。払うでもなくということで、とても元気な子どもたちの姿が見えてくる。
もしかすると、作者の子ども時代の姿かもしれない。
鬼ごっこ、田舎の子どもたちには見られない情景だ。
都市部では公園など、すぐに子ども達が集まれる環境なのでいろいろなタイプの鬼ごっこを見られそうだが、徐々に過疎化していく地方ではあまり見られない。
そう考えると、古き良き時代を思い出させてくれる、温かい句だと思う。

飲み込みし言葉を込めて革手套   栄子
黒い革手套は着けている人には温かいが、見た目どこか冷たい雰囲気がある。
言わずにぐっと飲み込んだ言葉、それを込めるのだからちょっとした怖さをも感じる。
握手かはたまた恋人と手を繋いでいるのか。
ぎゅっと敢えて力を込めていそうな様は、革手套を通して相手になんとなく伝わりそうだ。

東京は大きなクリスマスツリー    味千代
一読して、なるほど~!と思った句。
確かに、東京都そのものの形は、太平洋側からみたら木のようにも見える。
夜になれば、都心は灯に満ち、大きなイルミネーションだ。
ところどころにある公園や皇居に繁る常緑樹もまさにクリスマスツリーの葉のよう。
大きな景が見えるこの句に、作者の純粋さを垣間見る。


インターネット句会 | 21:23:13 | トラックバック(0) | コメント(1)
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