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パラソル句会

Author:パラソル句会
パラソル句会は、50歳までを対象とした若い世代の句会です。指導は西村和子先生から井出野浩貴さんに引き継がれましたが、変わらず毎月第2土曜日の午後に池袋近辺の会場で句会をしています。また、偶数月はインターネット句会を楽しんでいます。お気軽にお問合せください。

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合同句集『海へ』リレー鑑賞〈36) 吉田林檎の句から
3月19日に出版した合同句集『海へ』には、36名が20句ずつ寄せていますので、
リレー形式で仲間の1句を紹介しています。
最終回は吉田林檎さんの句を山﨑茉莉花さんが鑑賞しました。

春水や心の底に石ひとつ  林檎

自然界での春の水は、涸れていた川や沼に、春になり雪解けによって現れる。
水嵩を増し、流れにも勢いが出てくる。
そんな勢いのある明るい景色の中、ふと川底に目をやると、いくつかの石が沈んでいる。

作者は心の底にもひとつの石があることに気づいた。心という柔らかいものの中の固い石。
ということは、何か苦しさを抱えているようである。
春という明るさに向かう季節の中で、いまだ解決できない何かを。

でも、大丈夫。
寂しさの秋の水ではなく、手を切るように冷たい冬の水でもない。
和らいできた温かな春の水なのだから。
きっとこれからよい方向に向かっていくに違いない。(山﨑茉莉花)

リレー鑑賞はこれで終了です。
みなさま、お付き合いくださりありがとうございました。

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リレー鑑賞 | 19:41:48 | トラックバック(0) | コメント(0)
合同句集『海へ』リレー鑑賞(35) 山﨑茉莉花の句から
3月19日に出版した合同句集『海へ』には、36名が20句ずつ寄せていますので、
リレー形式で仲間の1句を紹介しています。
今回は山﨑茉莉花さんの句を森山栄子さんが鑑賞しました。

星月夜二十歳の心柔かき 茉莉花

親知らずとはよく言ったものだ。
知らない顔がどんどん増えてくるのは親にとって心配な事ではあるが、成長した子の振る舞いや考え方に触れ、嬉しい驚きも多いに違いない。
久しぶりに語らえば、子は親の憂慮をひょいと乗り越えるように無邪気に笑っている。そしてその心は未来へ踏み出しているのだと気づく。そんな万感の夜を想像させる広がりのある一句である。
星々のきらめきは子の未来を祝福するようだ。
作者にとっては思い出のひとつひとつのように感じられたかもしれない。(森山栄子)

次回は、最終回。
吉田林檎さんの句を山﨑茉莉花さんが鑑賞します。

リレー鑑賞 | 19:40:45 | トラックバック(0) | コメント(0)
合同句集『海へ』リレー鑑賞(34) 森山栄子の句から
3月19日に出版した合同句集『海へ』には、36名が20句ずつ寄せていますので、
リレー形式で仲間の1句を紹介しています。
今回は森山栄子さんの句を松枝真理子が鑑賞しました。

初燕ターミナル駅動き出す  栄子

「ターミナル駅」が「動き出す」と表現しているが、もちろん駅が動くわけではない。
初燕が見られる時期は4月ごろであるから、入学、進級、就職また人事異動のシーズンと重なる。
駅を行き交う人々に変化が生じるのだ。
そのような状況を「動き出す」と表現したのが眼目である。

詠まれているのがローカル線の駅なら、読み手の想像する場面はある程度限られてくるだろう。
しかし都会のターミナル駅である。どんな光景かは一概には言えない。
読み手が各々にひきつけて味わえるところも、この句の魅力である。

また、初燕の生命力と躍動感あふれるイメージからは、
人々が新しい世界へ、そして未来へ歩み出すという印象を受ける。
前述した飛来の時期ともリンクして、季語が効果的に働いている。(松枝真理子)

次回は山﨑茉莉花さんの句を森山栄子さんが鑑賞します。

リレー鑑賞 | 22:25:38 | トラックバック(0) | コメント(0)
合同句集『海へ』リレー鑑賞(33) 松枝真理子の句から
3月19日に出版した合同句集『海へ』には、36名が20句ずつ寄せていますので、
リレー形式で仲間の1句を紹介しています。
今回は松枝真理子の句を冨士原志奈さんが鑑賞しました。

香水の好みいつしか変はりをり 真理子

香水をつける男性もいるが、香水といえば、やはり女性。
香水の例句には、女性の美しさ、あるいは、その女性の内面を時に皮肉に捉える句が多い。

掲句は、作者がいつしか香水の好みが変わったことに気づいたというものであり、さりげない言葉遣いではあるが、年齢を重ね、女性としての生き方、考え方も変わってきたという人生の移ろいを感じさせるものである。

作者の第一句集「薔薇の芽」には、香水の句として、〈香水瓶飾るや夫の知らぬ恋〉、〈香水やこの頃黒の似合はなく〉が収められており、掲句とともに鑑賞すると、それが一層際立ってくる。
「香水」という季語だからこその句といえよう。

また、表題句である「冷やかやてのひらにとる化粧水」は、てのひらの触感に訴える句であり、作者の鋭敏な感覚がよく現れているとともに、どこか客観的に冷静に物事を見つめている視点を感じるのであるが、掲句の視点もまた、自らの人生の移ろいを客観的に冷静に作者が見つめているものといえよう。(冨士原志奈)

次回は森山栄子さんの句を松枝真理子が鑑賞します。

リレー鑑賞 | 21:27:42 | トラックバック(0) | コメント(0)
合同句集『海へ』リレー鑑賞(32) 冨士原志奈の句から
3月19日に出版した合同句集『海へ』には、36名が20句ずつ寄せていますので、
リレー形式で仲間の1句を紹介しています。
今回は冨士原志奈さんの句を藤田銀子さんが鑑賞しました。

何処へも辞令一枚鳥雲に  志奈

作者は数年おきに任地を変わるという。
もちろん職責を全うする気概があってこその「何処へも」なのだろうが、新任地へは期待ばかりのはずはあるまい。
上五中七は現実を淡々と述べているだけ。
読み手に委ねられたのは下五の季語「鳥雲に」の解釈ということになる。
越冬した冬鳥が北方の繁殖地に戻る、それは春の光景だが、渡り鳥が雲間に消えてゆくさまはどこか春愁に通じる光景ではないか。
ベクトルとしては未来を指してはいるが、そこはかとない不安をも包含している季語。
表題となった〈しぐるるや捜査本部の午前四時〉の他、〈刑務所の塀の高きを蟬時雨〉からも職業人としての作者が垣間見えるが、いずれも心浮き立つような仕事場とは言えまい。

緊張を強いられているだろう日々の中、だからこそなのか句作に興じる作者。
季語を取り換えては作り替え、上五と下五を入れ替え、てにをはに迷い切れ字に悩み、さらに一句。
句作や句会はだれにとっても素顔や本音が思いがけない形で現れる楽しみの場だが、作者には今後も無心に楽しんでほしい。
そしてまた「鳥雲に」と下五に据えたこの一句を、その辞令とともにひそやかな誇りとしていてくれたら、と願わずにはいられない。(藤田銀子)

次回は松枝真理子の句を冨士原志奈さんが鑑賞します。

リレー鑑賞 | 20:18:54 | トラックバック(0) | コメント(0)
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